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茂山鉱山、金策製鉄所における生産能力拡大の動き?

2025-03-28

2025年3月17日、産経新聞が独自のニュースとして、対北情報筋による衛星画像の分析により、北朝鮮にベラルーシ製のダンプ車が輸入されていたことが明らかになったと報じた[1]。記事中では2024年11月6日の衛星写真が示され、豆満江駅の荷役ホームにダンプと思しき黄色い荷物を押せた貨車が横付けされている様子を確認できる。
影の形から一つの貨車に大きく2つのパーツが積載されているようで、これらがそれぞれ荷台部分とシャーシの部分であれば、確かに4両分のダンプが輸出されたことになる。
記事中ではこれらの車両が軍用車両に改造される恐れがあるとしているが、本来の用途の通り、鉱山にて使用される可能性は考えられないだろうか。
実は現在、北朝鮮北部に位置し、国内最大の鉄鉱山とされる茂山鉱山にて、施設の更新が見られるとともに、その鉱石が運ばれる金策製鉄所においても同様の動きが見られる。今回はこれらの動向を通じて北朝鮮の製鉄業にどのようなことが起こっているのか、見ていきたい。

金正恩氏は2021年に行われた朝鮮労働党第8次大会において、次のように発言している。
「新しい国家経済発展5ヵ年計画の中心課業は金属工業と化学工業を経済発展の関鍵的円環として握りしめ…(中略)…ることです」「金属工業と化学工業発展を先立たせる原則で国家的な経済組織事業をうまく組織しなければなりません」[2]
これに合わせてここ数年の間、各鉄鉱石鉱山と製鉄所にて様々な動きが見られる。今回見ていくのは以下のとおりである。

1. 茂山鉱山における破砕機の導入とベルトコンベアのベルト交換
2. 茂山鉱山と清津・金策製鉄所との間を結ぶ精鉱輸送管の復旧
3.金策製鉄所への新型の溶鉱炉、酸素分離機の設置



1. 茂山鉱山における破砕機の導入とベルトコンベアのベルト交換

茂山鉱山連合企業所(以下、茂山鉱山)は北朝鮮北部、豆満江沿いの茂山に位置する鉄鉱山であり、日本統治時代の三菱鉱業株式会社茂山鉱山を前身としている。三菱時代に探鉱の結果、埋蔵量が10億tを超えることが判明したものの、その品位の低さ(鉄以外の不純物の多さ)からクルップ=レン法による直接還元製鉄を行うべく、三菱鉱業清津精錬所が設立され、半製品としてのルッペの製造、後に製鋼までが行われた[3]。同時に日本製鉄株式会社も清津製鉄所を竣工し、こちらは高炉による製銑を行った[4]。これらがそれぞれ現在の清津製鋼所と金策製鉄連合企業所の原型であると考えられる[5]。クルップ=レン法による製鉄ではコークスの量がさほど必要とされないというメリットがあり、コークスの原料となる瀝青炭の産出がほとんどない北朝鮮では、この技術をもとにした製鉄方法の研究開発が進み、コークスをあまり用いないで作った鉄のことを総称して主体鉄と呼ぶようになったようだ[6]。


図1:茂山鉱山と金策製鉄所、精鉱輸送管の位置(2022年9月26日)
(LC09_L1TP_115031_20220926_20230327_02_T1_B8等から筆者作成, courtesy of USGS)

2023/11/7[労]によると、「党大会が決定した装備補強計画を基本的に終えることを今年経済事業の中心課業と打ち出した党中央委員会第8期第6次全員会議決定を受けた連合企業所では」「何台かの粗砕用円錐形破砕機設置及び1万8000m区間の長距離ベルトコンベアベルト交替工事を」行い、結果「粗砕工程の現代化がより高い水準で実現され、粗鉱運搬及び剥土処理能力が向上された」としている[7]。
破砕機についてから見ていこう。粗砕は破砕の前にある工程と思われ、おそらくダンプから岩石を下ろす際の破砕機を設置したということなのだと思うが、茂山鉱山の場合、まずどこで荷下ろしをしているのか判然としない。
ベルト交換の結果、粗鉱運搬能力が向上したとあることから複数個所で荷下ろしが行われているものと思われ、選鉱場の直上のそれらしき建屋と似たような建物を探すと、露天鉱の全体に三か所の存在が見つかる。記事中には「去る8月初め、初となる粗砕用円錐形破砕機を設置し…」とあることから、何か大きな変化があればGoogle Earthに存在する2023年9月8日の衛星写真とそれ以前の衛星写真を比べることで何かしらの動きを察知できると思われるが、特段の変化があるようには見られない。そのため、この粗砕用破砕機がどこに設置されたのか、どれぐらいの規模のものなのかといったことが確認できていない。
ベルトコンベアについても同様で、選鉱場の上部に接続された細長い構造物たちがそれであると思われるものの、屋根に覆われているため工事をしていた様子をうかがうことができない。
さらに言えば2024/5/5[労]では「回転式鑿井機をはじめとする大型設備たちの大補修」したという文言も現れているものの、これは特定の場所で行われる類のものではないので、衛星写真などによっては確認しえないものと思われる[8]。
前者の2つの工事については、毎日の20時報道などを通して映像から裏付けを取る事ができるかもしれないが、今回はそこまで手を付けられていない。


図2:荷下ろし場所と思われる建物(マウスを重ねると位置を表示)

ではこれらによって生産能力はどのように変化しているのかということだが、本サイトの労働新聞検索機で「무산광산련합기업소 대발파」と調べると、昨年2024年の中で4回、50万産大発破というのを行っていることがわかる(1/8,4/12,6/18,10/8、すべて翌日報道)[9]。
この50万産大発破というのは、報道によってブレがあり50万㎥なのか50万tなのか判然としないのであるが、総量50万の土砂岩石を産み出す発破のことらしく[10]、4回で総量200万の処理前岩石を得たということになるらしい。岩石の密度は基本1t/㎥を超えるため、量が少なくなる200万tとしても、日本統治時代の昭和17年には整えられていた処理能力の最大が200万tであった[11]というから、現在、少なくともこの水準は超えているということがわかる。
2023年の労働新聞の記事中には~万産大発破をしたという記事が見当たらないため、ベルトコンベア等設備の更新により、生産量が増加しているとみることができるのではないだろうか。


図4:2023/3/22[労]인민경제발전 12개 중요고지점령을 위해 기세차게 내달린다より、茂山鉱山の様子。
手前のダンプ車はBELAZ-7555シリーズと思われる。


図5:2024/9/5[労]전진과 비약의 숨결로 약동하는 철산봉より、茂山鉱山の様子。
中央に映っているのが回転式鑿井機(회전식착정기)であると思われる。



2. 茂山鉱山と清津・金策製鉄所との間を結ぶ精鉱輸送管の復旧

2023/6/9付、NKタイムズ[12]が内部消息筋の話として、3月から富寧郡において茂山鉱山と金策製鉄所を結ぶ精鉱輸送管交替工事が進行していると伝えた。同消息筋によるとこれは1974年4月に建設が始まり、翌1975年11月から試運転が始まったものらしく、茂山鉱山の選鉱場が位置する鉄山から新站、章興などを通り清津市松坪区域松林洞の後処理場まで連結されており、後処理場で媒体である水を取り払い、選鉱した鉄鉱石である精鉱をさらに2300mのベルトコンベアに載せて金策製鉄所と清津製鋼所の焼結場に輸送するものであるという。
この精鉱輸送管は2020年9月の台風(台風9号と思われる)によって一部区間が破壊され、その際は2020/11/10[労]にある通り復旧工事を行ったが、精鉱が流れる速度が遅くなり、2022年11月からは運搬が完全に止められた状態だったという。
そこで台風の後のような「復旧次元の作業ではなく、完全交替工事を進行しているもの」と伝え、「今年は新しい鉄の管をはじめ、国家的な投資が積極的になされ、特に中央の幹部たちまで工事現場に出ていることを見ると、党の指導下に年末までには精鉱輸送管工事を必ずや終えようということらしい」としている。
実際に水害後の2021/6/1[央]、当時首相であった金徳訓氏が金策製鉄所を現地了解した際の報道にて「精鉱輸送体系を完備することに対して強調した」とあり[13]、また2023/10/29[労]「金策製鉄連合企業所で1万余区間の長距離精鉱輸送管交替工事結束」という記事[14]でその完了を伝えていることは、交換工事が行われているという消息筋の発言を裏付けるものと言えるだろう。


図6:精鉱輸送管修復の様子(41°56'38.8"N 129°43'02.9"E)


図7:精鉱輸送管修復の様子(42°01'08.3"N 129°42'31.4"E)

以上は共にGoogle Earthで見た富寧郡内における輸送管と思しきものの様子を2019年、2021年、2023年の順で表したものであるが、確かに2019年に比べて2021年では埋められていた管がむき出しになっていたりするところ、2023年では新たに堤防状に埋め戻されていることがわかる。以上のようにして採掘され、輸送された鉄鉱石が運ばれる先の一つ、金策製鉄所でも大きな変化が見られる。



3.金策製鉄所への新型の溶鉱炉、酸素分離機の設置


図8:金策製鉄連合企業所内の溶鉱炉の変化

以上は2015年から2024年までの金策製鉄連合企業所(以下、金策製鉄所)の高炉周辺の衛星写真を順に表示したものであるが、2018年初頭頃から施設の解体が始まり、2020年末~2021年初から新しい高炉設備の建設が始まっていることがわかる。2023/12/21[央]によれば20日に「エネルギー節約型酸素熱法溶鉱炉」と「1万5000㎥酸素分離機」の竣工式が行われたとし、この増設によって製鉄所の主体鉄生産能力は2倍以上に長成したという[15]。ここで2倍以上と、それ以前との比較の形で書かれているのは、先んじて2018年、今回と同様の溶鉱炉がすでに建設されているからである。


図9:金策製鉄連合企業所の溶鉱炉の位置


図10:金策製鉄連合企業所内の溶鉱炉の変化

2018/9/26[央]では、金策製鉄所に「100%我々の技術と燃料、原料による主体鉄生産工程が確立された」としているが、この工程に関わる設備に「酸素熱法溶鉱炉」「流動層ガス発生炉」、そして「主体鉄生産の心臓部である1万5000㎥/h酸素分離機」の名前を挙げている[16]。2018と2023に共通するのが「酸素熱法溶鉱炉」と「酸素分離機」であるが、これは炉に酸素を吹き込む酸素富化を行っていることを示唆しているのではないかと思われる。
酸素富化は炉の中に空気と共に酸素を吹き込み、相対的に窒素の密度を下げることで、溶解速度を増加(通常、出銑までは数時間を要する)させ、生産効率が向上するとされている[17]。しかしこれは鉄鉱石を溶かす工程における技術であり、鉄の還元技術ではない。
ここで注目したいのが、2018年の報道に現れている流動層ガス発生炉である。流動層(床)とは粉体が流体のようにふるまう状態のこと、またその状態を利用する還元炉の方式を示す。これはおそらく鉄鉱石の(予備)還元を流動層により行っており、そのための水素や一酸化炭素といった還元性ガスを、粉末状の石炭などから発生炉を用いて製造しているということなのではないだろうか。これは高炉法に対して直接還元法や溶融還元法とくくられるような製鉄方法のうち、COREX法(シャフト炉にて還元を行う)やFINEX法(流動層にて行う)に準じたものなのではないかと思うが、詳しい方式を特定しえない[18]。
またとくに2023年の報道ではガス発生炉について言及がないほか、エネルギー節約型と冠されていることが何を意味しているのか素人では推し量りがたい。また製銑と合わせて製鋼はどのような形で行っているのかということもわからない。これらについては今後明らかになっていくことを願いたい。
ここで一つだけ追加の考察をしておくと、2023/12/21[報]の映像を見ると、看板や壁画に一部モザイクがかけられていることがわかる。ここにはどうやら生産目標が書かれているようだが、俯瞰の映像などから推測すると、日10000tと書かれているように思われる[19]。今後さらに溶鉱炉が増備される可能性が十分あり得るが、参考までに、日本では日本製鉄大分製鉄所や君津製鉄所にある国内最大規模の高炉は1日12000tほどの生産能力を有しており[20]、金策製鉄所はおそらく全体でこれに準じた生産を行おうとしているものと思われる。なお前者と後者で炉の能力が大きくかけ離れているが、これは高炉の方が単純に規模を大きくしやすく、ゆえに生産量のスケールも大きいということを考慮する必要があるだろう。

以上のように今回は、ここ数年茂山鉱山と金策製鉄所で起こっている変化について見てきたが、この2か所以外でも様々な動向が見られる。特に茂山鉱山に並ぶ鉄鉱山である殷栗鉱山では2023/8/31[央]にて、新しい分鉱山(選鉱場一式)の竣工が報じられている[21]ほか、黄海製鉄連合企業所でも2021/10/15[労]で酸素熱法溶鉱炉と100t超高電力電気炉大補修工事が完了[22]、2024/12/20[央]では金策製鉄所と同じエネルギー節約型酸素熱法溶鉱炉が竣工したと伝えられている[23]。
冒頭の金正恩氏の言葉に登場した5ヵ年計画は今年が最後の年であり、執り行われるであろう第9次党大会にて、その総括がなされると考えられる。今回見たような動向がどんな言葉で語られるのか、またその先の5ヵ年計画はどうなるのか、目が離せない一年になりそうだ。

[1]
産経新聞「<独自>北朝鮮、ベラルーシ製の鉱山用大型特殊ダンプ輸入 ミサイル発射台に転用可能性も」2025/3/17 18:07,石川有紀
報道ではどこから情報を得たのか明らかにしていないものの、これらのダンプ車がベラーズ(БЕЛАЗ)社製のものとしており、同社の7547シリーズの写真を「同型と推定された」として掲載している。これらダンプ車のカタログを見ると、30t~60t積みのダンプ車の横幅は4m前後、長さは8m前後となるようであるが、車両の幅3m、長さ13~18m程度の程度のロシアで鉄道により輸送する場合、これら写真のように1両にまとめて載せるほか、これら写真のように、荷台を分割して横を詰めたり、何車両かに分けるなど工夫をして載せる場合に分かれるようだ。
記事中の衛星写真を見ると、操車場の他の貨車の長さ(物流会社のサイト参照、左下、緑の有蓋車(推定17m程度)、左端、鉱石車(推定13m程度)と比べると後者に近い)から13.4m程度の貨車ではないかと思われる。すると組立時の長さが8.09m,シャーシと荷台を重ねて並べても13mギリギリと思われる45t級の7547シリーズではなく、組立時長さ7.11mの30t級7540シリーズなのではないかと思う。ただ衛星写真中で1両分のみホームに荷下ろしされているようであることが少し引っかかる。国内の鉱山に輸送するためには、鉄道でも道路でも、豆満江か羅津で乗せ換える必要があるが(あるいは自走するのか?)、周りにクレーンなどがいない(影を見るとそれらしきものがあるものの)ように見え、あたかも組立状態で列車に積まれ、そのまま降りてきたかのように見える。しかし組立状態だと、貨車に積むには大きすぎるはずである。ゆえにこれがダンプなのかどうか、もこの写真からでは判断がつかない、というのが正直なところだと思われる。
なおダンプを輸入するということに関しては、祥原石灰石鉱山(2023/1/7[労])や順川石灰石鉱山(2023/1/5[報])にて、少なくとも2023年初頭には中国・陕西同力重工股份有限公司製と思しきダンプ車が確認できる。このような例を見ると、鉱山で使用する目的のダンプ車を輸入するということは北朝鮮にとって決して特別なことではないと考えられる。

[2]
2021/1/13[央]「김정은총비서 조선로동당 제8차대회 결론」より、「새로운 국가경제발전 5개년계획의 중심과업은 금속공업과 화학공업을 경제발전의 관건적고리로 틀어쥐고…(中略)…는것입니다.」「금속공업과 화학공업발전을 앞세우는 원칙에서 국가적인 경제조직사업을 잘 조직해야 하겠습니다.」
[3]
三菱鉱業社史(1976,三菱鉱業セメント株式会社)に詳しい(p337~)
[4]
炎とともに 新日本製鉄株式会社十年史(1981.3,新日本製鉄)p21など。日本製鉄株式会社史 : 1934-1950(1959,日本製鉄史編集委員会)の方が詳しいと思われるが、未見
[5]
北鮮三港(清津を中心として見たる)に於ける工業立地條件調査資料 (産業調査資料 ; 第56編)(1939.5,南満州鉄道)の地図を見ると、それぞれの製鉄所の位置が一致することがわかる。
[6]
2010/1/29[新]「「純度100%のチュチェ鋼鉄」 城津製鋼連合企業所の新工程」に、「チュチェ鉄とは、外国から輸入せざるをえないコークスを使わず国産の原料、燃料を用いて作った鉄を指す。」とある。
[7]
2023/11/7[労]「당의 정비전략, 보강전략관철에서 이룩된 자랑찬 결실」なお2024/2/4[労]「정비보강사업으로 생산토대를 부단히 강화」によれば、粗砕用円錐形破砕機について「さる1月から一斉に正常運営に入った」という。
[8]
2024/5/5[労]「철산봉에 나래치는 계속혁신의 기상」
[9]
2024/1/9[労]「무산광산련합기업소에서 50만산대발파 진행」
2024/4/13[労]「50만산대발파 성과적으로 진행」
2024/6/19[労]「50만산대발파로 철정광증산의 담보 마련」
2024/10/9[労]「올해 네번째로 되는 50만산대발파 성공적으로 진행」
[10]
労働新聞の中国語版の記事から、「50만산대발파」は「50万産大発破」となることがわかる。この「産」は発破して得られる土砂岩石の総量を表し、脱北者の証言によれば、1産が1立方メートルに相当するらしい。
[11]
三菱鉱業社史p339に「しかし鉄品位は40%どまりの貧鉱で、選鉱によって60%の精鉱に加工する必要があった。したがって精鉱100万tの生産には, 鉱山から採掘する粗鉱は200万tが必要であるが、茂山は昭和17年ごろ既に年間200万tの採掘能力があった。」とある
[12]
NK타임즈「북, 무산광산-청진제강소까지 정광수송관 교체 공사 진행」2023/6/9 08:59,김세원
[13]
2021/6/1[央]「김덕훈총리 함경남북도 여러 부문 사업 현지료해」
[14]
2023/10/29[労]「정비보강계획수행에서 이룩된 로력적성과」「김책제철련합기업소에서 1만여m구간의 장거리정광수송관 교체공사 결속」
この記事によると、精鉱管の正式名称は250里長距離精鉱輸送管といい、「金属工業省と金策製鉄所の活動家たちが…工事を急がせ終わらせるための作戦と指揮を」したとあることからもわかるように、茂山鉱山ではなく金策製鉄所側の設備であり、同所が位置する清津市の地名を冠した松坪輸送管事業所という単位が管理を担っているようである(2022/5/12[央]「철정광수송성과 확대」などでは金策製鉄連合企業所 松坪輸送管事業所と明示されている)。ちなみに​2021/6/16[今]「정광수송능력을 높여 철강재생산에 적극 기여」によると、同事業所には前処理職場、1中継職場、2中継職場、管補修職場、公務職場があるものと思われる。
[15]
2023/12/21[央]「주체조선의 활기찬 전진기세를 과시하는 자립의 창조물 김책제철련합기업소 에네르기절약형산소열법용광로와 1만 5, 000㎥/h산소분리기 준공식 진행 조선로동당 중앙위원회 감사문 전달」
[16]
2018/9/26[央]「김책제철련합기업소에서 주체철생산공정 확립」
[17]
「酸素製鉄製鋼法(1)」(1971,森永孝三,鉄と鋼第46年第6号)
[18]
COREX法についての概要
FINEX法についての概要

COREXやFINEXといった新しい方法と、直接還元法、すなわち清津製鋼所や保山製鉄所、城津製鋼連合企業所?で行われているロータリーキルンを用いて直接還元鉄(DRI)を作る方法は技術的に同根と考えられることもあってか、これら非高炉法全般を指して溶融還元法という言葉が用いられる(「溶融鉄還元製法開発の現状」(1992,宮崎富夫,鉄と鋼第78年第7号))。溶融還元法におけるメリットとして、鉄鉱石は銘柄を問わず、また一般炭を燃料にでき、焼結炉、コークス炉が不要で、巨大な装置を要せず、運転開始および停止が簡単、エネルギー発生量の制御も容易ということが挙げられる(「溶融還元製鉄法開発の現況」(2002,北川融,鉄と鋼Vol.88No.8)が、特にこの前者の2つが北の宣伝内容に符合している。

なお書き終えてから気づいたのであるが、すでに2010年には城津製鋼連合企業所に導入された主体鉄製造工程がCOREX類似のものであると指摘している統一ニュースの記事「포스코와 어깨를 나란히 하는 '주체철' <연재> 곽동기의 오늘의 북한산업 (6)」が存在する。この記事では酸素熱法について、北朝鮮がコークスではなくいわゆる一般炭を用いることで発熱量が減少してしまう問題を酸素富化によって解決しようとし、1999年に黄海製鉄連合企業所に酸素熱法溶鉱炉を設置したとしている。またCOREXではコークス炉が、FINEXでは焼結炉も必要なくなるということについて説明されている。
また元々のソースが不明なのであるが、POSCOが世界で初めて導入したFINEXの技術について、北朝鮮が関心を持っているとされることも多い。SPNの記事「[북한의 과학기술] (2) '주체철' 이춘근」では南北協力時期、北側(북측)担当者が「FINEX」のような工法に成功すれば国家勲章1級を受けられる」と話したという逸話まで紹介している。POSCOがこの方法の輸出、合弁企業の設立を計画していたこともある「최정우, 박태준의 '포스코 북한 제철소' 꿈 이뤄내나」ようだが、実行には至らず、近年の溶鉱炉建設に南側技術の関与があるのかないのかといったことまでは推し量りがたい。
[19]


2023/12/21[報]より、左上が「충성과 애국의 한마음으로 10000t목표를 기어이 점령하자(忠誠と愛国の一心で10000t目標を必ず占領しよう)」左下が「불같은 그리움을 쇠물로 터치여 일10000t를 향하여 앞으로(炎のような恋しさを溶鉄で沸かし、日10000tに向かって前へ)」と思われる。
[20]
「モノづくりの原点 科学の世界VOL.41」(NIPPON STEEL MONTHLY,2008.6,p13)
[21]
2023/8/31[央]「은률광산 서해리분광산 준공」
[22]
2021/10/15[労]「기적창조의 불길은 어떻게 타올랐는가 -산소열법용광로와 100t초고전력전기로대보수공사를 힘있게 추동한 황해북도당위원회와 황해제철련합기업소 당위원회 사업경험-」
[23]
2024/12/20[央]「자립경제의 위력을 증대시키는 또 하나의 주체적야금로 탄생 황해제철련합기업소 에네르기절약형산소열법용광로 준공식 진행」